過去に「リレーエッセイ」掲載されたエッセイです。

                                       
世界のスポーツマネジメント研究
電気通信大学
人間コミュニケーション学科
教授 大鋸 順
1999.10.14


 ここ数年、世界のスポーツマネジメント研究はめざましいものがある。特に、NASSM(North American Society for Sport Management) とEASM(European Association for Sport Management)では、アメリカとヨーロッパという社会・文化的背景の違いはあるものの、学会大会では多くの研究者が参加し、盛んに研究発表が行われている。
 今年のNASSMの学会大会は、6月2日から5日までバンクーバーのブリテッシュ・コロンビア大学で開催され、140題を越える論文が発表されている。全体的な傾向をみると、組織研究、マーケテイング研究の発表が多く、組織研究では、競技団体やNPO団体のマネジメント、マーケテイング研究ではプロ・スポーツのマーケテイングに関する発表が多い。
 一方、EASMの学会大会は、9月16日から19日までギリシャのテイッサロニキで開かれ、300人を越える人々が参加し、100題を越える論文が発表されている。NASSMとEASMの相違は、前者がほとんど大学の研究者で占められているのに比べ、後者は、大学の研究者、スポーツ組織や競技団体などの関係者、行政担当者、メデイア関係者など多様な人々が参加していることである。この特徴は研究発表にも現れ、競技団体やスポーツ団体の経営、クラブやイベントのマネジメント、プロスポーツのマーケテイイング、スポーツ・メデイア、スポーツ振興策等多様である。
 また、今年の特徴として、両学会大会ともオリンピックをテーマにした基調講演を設定したことである。カナダのバンクーバー市は2010年に冬季オリンピックの誘致を考えており、またギリシャは2004年にアテネ市での開催が決まっている。さらに、来年2000年の1月7日から9日までオーストラリアのシドニー工科大学において、SMAANZ(Sport Management Association of Australia and New Zealand)の主催で開催される第3回国際スポーツマネジメント学会大会においてもオリンピックがテーマになっている。
 研究の全体的な流れをみると、社会の急速な進展、スポーツ産業の多様な展開に、スポーツマネジメント研究が追いついていないという状況がみられ、これは日本だけのことではないようである。しかし、一方ではスポーツマネジメント研究がそれに応えようと努力していることも事実である。来年のNASSMの学会大会は、5月31日から6月3日までコロラド・スプリングスにおいて開催され、またEASMの学会大会は9月6日から10日までイタリアのボローニャ地方のサンマリノ共和国で開催される。世界の研究に触れ、世界の文化に触れることも新しい世紀に向かっての研究に大いに役立つものと思われる。
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