プロジェクト研究−III
 スポーツのメディア・バリューに関する研究


研究代表 松田 義幸(実践女子大学)
研究幹事 嵯峨 寿(筑波大学)

1.平成10年度活動報告

平成11年3月8日・9日の二日間、筑波大学(茨城県つくば市)を会場に、「スポーツのメディアバリュー・フォーラム」を開催した。当日は、本学会の会員はじめ筑波大学の教官や学生ほか、スポーツ用品メーカー、競技団体、マスコミ、一般企業等関係者など、述べ168名の参加があった。

開始が目前に迫ったテレビのデジタル放送やマルチメディアといったニューメディアが、これからのスポーツ報道のあり方や番組づくりにどんな影響を及ぼすのか、またそれに伴ってスポーツそれ自体は、どんな問題に直面することになるだろうか。「ニューメディア時代のスポーツとスポーツ報道・映像を考える」というテーマのもと、学会内外の研究者・実務経験者等を講師に迎え、レクチャー6件とシンポジウム3件を用意した。

初日は、オープニングレクチャーとして佐伯聰夫氏が経済的および社会文化的な視点からスポーツのメディア・バリューの大枠を概説した。これを受けて舛本直文氏(東京都立大学)は、【映画】の中のスポーツを取り上げ、その象徴的・文化的意味の解釈を試みた。松田義幸氏は、【テレビコマーシャル】を例に、ナイキの企業マーケティング戦略におけるスポーツとアスリートのはたす役割と意味を論じた。また元通産省事務次官の福川伸次氏(電通総研研究所長)は、情報通信テクノロジーの進化に伴うスポーツの文明的価値、文化的価値について言及した。

この日最後のプログラム、シンポジウム1(司会 嵯峨)では、国内外でのプロ選手として経験豊富な風間八宏氏(桐蔭横浜大学サッカー部監督)、加藤陽一氏(バレーボール・東レ)そして田辺陽子氏(柔道・ミキハウス)らが、選手あるいは指導者の立場からからみたメディアの影響と問題点をあげた。

第2日目午前には、平成10年度に信州大学経済学部が開講した「産業・経営からみたスポーツ論」を振り返って、上西康文氏(信州大学教授)がスポーツ産業研究の課題を提起した。引き続き開催されたシンポジウム2(司会 北村・畑)では、地域振興にとってのスポーツの効果や問題点が、久米一正氏(柏レイソル強化本部長)を中心に、上西氏と佐伯氏が加わって論議された。

午後のレクチャーでは、まずNHKの倉見芳和氏(スポーツ報道センター部長)が番組制作者の立場から、スポーツ報道の現状と課題を述べた。次いでNHK放送技術研究所の下田茂氏(マルチメディアサービス主任研究員)は、スポーツ報道現場で実際に使用されている各種放送技術を紹介すると共に今後の方向性も提示した。最後のシンポジウム3(司会 松田・矢島)では、元テレビ朝日アナウンサーの太田眞一氏(山梨学院大学)、日本テレビの山田克也氏(編成局スポーツ担当)、電通OBの間宮聰夫氏(順天堂大学)に倉見氏を加え、デジタル放送時代において予想されるスポーツ報道の課題や行方が様々な角度から論じられた。

2.総 括

3年間のプロジェクト研究を通し、スポーツのプロ化支援をメディアバリューの視点から検討しようとする本学会の姿勢は示すことができたように思われる。このたびのフォーラムを含むプロジェクト研究の詳細については、多方面への情報提供を目指し、その具体的方法(出版や本学会ホームページへの掲載など)を検討する予定である。

ますます複雑・多様化するスポーツとテレビ、両者の関係改善に向け本学会ははたしてどのような貢献ができるか、議論の継続と発展を要する大事な問題がまだ残されている。

以上

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